せいうん便り

第二十八回 天下人の威光

2018.10.17

10月23日の全国紙の朝刊をご覧になった方も多いことでしょう。
駿府城の発掘現場から、1590年ころ豊臣方により築城されたと思われる天守閣の石垣や金箔の屋根瓦330点余が出土したそうです。

羽柴秀吉が1590年に小田原を平定するまで、家康は駿遠三甲信5か国を納める大名で、駿府城を居城としていました。

北條氏滅亡によりほぼ天下平定と成った秀吉は、論功行賞とはなばかりの左遷ならぬ右遷で、家康を関八州250万石の大名へと移封しました。

今回出土した石垣などは、家康移封後に入城した中村一氏が城主のころに築城されたもののようです。

家康の関東入城後、新たな城主に屋根瓦に金箔が施された天守閣を築城した秀吉にも驚かされますが、将軍職を秀忠に譲った家康がその天守閣を取り壊し、屋根瓦を堀へ埋め、従前の石垣を封印するかの如く新たに巨大な石垣を持つ天守閣を築いた事実にはさらに驚かされます。

中世の城廓は権威の象徴でもあったことの何よりの証左でしょう。

秀吉や家康の天下人としての誇りを垣間見ることが出来、大変興味深いです。

全国紙の1面となったことからも分かるように、この発見は中世史の上でも画期的だそうです。
発掘調査も引き続き進行しているようですし、歴史へのロマンを駆り立てられるニュースでした。続報が楽しみです。

天下人の威光

天下人の威光

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第二十七回 ちびまる子ちゃんのマンホール

2018.09.12
ちびまる子ちゃんのマンホール

とても素敵なマンホールがセノバのけやき通り口に設置されました。
意外と素通りする人が多くてびっくり。
お近くを通る方は、少し気にかけてみて下さい。
さくらももこ先生、安らかに。

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第二十六回 Mr. サマータイム

2018.09.04
Mr. サマータイム

近時、政府がサマータイム導入を検討しているとの報道がなされています。
2020年東京オリンピック開催時における暑さ対策の一環であるとも言われています。

このように、我が国で導入が検討されている一方、EUではサマータイムの廃止が現実味を帯びているようです。
域内460万人からパブリックコメントが寄せられ、約84パーセントが廃止に賛成したとのことです。
理由は、体内時計の不具合による睡眠障害の発症や省エネ効果に乏しいといった点のようです。

様々な議論があるところでしょうが、EUにおける動向と結果に至った原因分析は、わが国においても重要であることは間違いなさそうです。

サーカスの名曲、「Mr. サマータイム」のように、サマータイム導入は、夏の日の幻となってしまうのでしょうか・・・。

私たちの日常生活にも大きな影響があることですので、政府の動向からは目が離せません。

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第二十五回 1億円?!

2018.08.23

8月16日の朝日新聞朝刊に、こんな記事が掲載されていました。

寺社仏閣から文化財が盗まれるといったニュースはしばしば見かけます。

このような事件の背後には記事中にもあるように闇マーケットの存在があるようです。

民法193条は、「・・・占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。」と定めています。

また、民法194条では、「占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。」とされています。

本来の所有者を保護すると同時に、盗品であることを知らずに取引した者を保護するために設けられた規定です。

ですから旧庄内藩主の子孫である酒井忠久さんも、正に先祖伝来の刀剣を2000万円(当時)で買い戻さねばならなかったのです。

もう一振りは愛好家の間で1億円で取引されているとのこと。

これでは、検挙されることを少々の危険と考える輩の発生を防ぐことは難しいですし、盗品を取り戻すことも事実上不可能です。

今回の民法改正でも、上述の条文は改正されなかったようです。
文化財保護の観点からも、新たに法改正が必要かもしれません。

旧庄内藩と言えば藤沢周平の出身地。
庄内藩は一連の藤沢作品に登場する海坂藩のモデルとも言われます。
泉下の藤沢周平も法改正を望んでおられるでしょうか。

1億円?!

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第二十四回 久しぶりの更新

2018.08.17

先日、高校時代の友人と再会した折、せいうんだよりは更新しないのか、と言われました。

意表を衝かれ戸惑いましたが、意外といろいろな人が見てくれているものですね。
ご覧いただいている方、誠にありがとうございます。

さて、その友人らと訪れたとある飲食店。

着席するや否や隣席にいた妙齢の女性が、「あれ、○○君だよね。」と友人の一人に声を掛けてきました。
聞けば二人は小学校の同級生であったとのこと。
やはり静岡は狭いですね。
悪いことは出来ません。

それから私たちは、「スポーツマンシップに乾杯!!」とグラスを合わせ談笑。
店も大盛況で、最初に注文したサラダは結局最後まで出て来ませんでした。

その後、友人は、その女性と共通の知人のことなどで盛り上がり、名刺なども渡して、旧交を温めていた様子でした。

帰り際、友人に尋ねてみると、女性のことは全く記憶にないとのこと。
そんな様子を微塵も感じさせないところに「大人」を感じさせられました。
私も大いに見習わなければと思いました。

ともあれ、旧友との再会は楽しいものです。
お互い元気でまた会いましょう。

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第二十三回 薬害教育③

2017.11.15

去る11月10日、静岡サレジオ中学校マリアンホールにおいて、第3回目の薬害教育が開催されました。 これは、過去2回行われた薬害教育に引き続き行われたもので、全3回開催の締めくくりとなるものです。

第1回目は、現在13歳前後である生徒さんが26歳になる2030年、成長した彼らの元に、中学・高校時代のクラスメイトからの手紙がある日突然届き、これに生徒さん達が返信を書くという設定で授業が行われました。ある日届く手紙は、薬害被害者のご遺族の手記をモチーフにしています。すると、元クラスメイトから再度手紙が届き、生徒さん達が実情を知ります。実情を知らせる重い手紙に再度返信するという大変手の込んだ内容となっていました。

2回目の授業では、東京原告団代表の浅倉美津子さんにご講演いただきました。このご講演は、声涙と共に下る聴衆の心を打つものでした。

今回の薬害授業、個人的には大変意義深いものであったと思います。真剣に向き合ってくれた生徒さん達や準備に多大なるご尽力をいただいた先生方、そして講演していただいた浅倉さん。この企画に関わっていただいた全ての方に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

この企画は今後も継続してゆきたいと思いますし、他校でもこのような試みが広がって行けばと切に願います。

>> 静岡サレジオ中学校の記事はこちら

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第二十二回 薬害教育② 〜浅倉美津子さんの講演会〜

2017.10.31

去る10月27日、サレジオ中学校のマリアンホールにて、薬害肝炎東京原告団代表浅倉美津子さんの講演が開催されました。

浅倉さんのお話は本当に胸に迫るものがありました。
本来病気を治療するための薬によって病気になってしまったという直接的な被害にとどまらず、病気がご本人や周りの人々に及ぼした影響につき、包み隠さずお話くださいました。
そして、自らの体験のみに留まらず、闘いの中で志半ばにしてたおれた同志のお話にも触れていただきました。

きっと、私などより余程しなやかな感性の持ち主である生徒さん達の心にも響いたことと思われます。

この場をお借りして、浅倉さんと貴重な機会をいただいた静岡サレジオ中学校様に謹んで御礼申し上げます。

そして、このような試みが、他の中学校にも広まって行くことを心より願っています。

>> 静岡サレジオ中学校の記事はこちら

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第二十一回 薬害教育①

2017.10.24
薬害教育 1

去る平成29年10月20日、静岡サレジオ中学校で薬害教育の授業が開催されました。 私は、薬害肝炎弁護団の一員として少しだけ薬害教育に関わっているのですが、サレジオ中学校の薬害教育に対する取組みの真摯さには、本当に頭が下がりました。

来る27日には、東京原告団代表の講演会があります。
きっと、生徒さん達も聴き入ってくれるものと確信しています。

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第二十回 ホストは労働者?

2017.04.20
ホストは労働者?

ホストクラブと聞いてみなさんは何をイメージしますか?
行ったことはありませんが、シャンパンタワーや派手な掛け声による一気飲みなどはテレビで見たことがある気がします。

このホスト。昇りつめると収入額はすさまじいらしい。高級車やマンションをお客さんからプレゼントされる例もあるとか。
他方で、さまざまなノルマや上からの厳しい管理などで過酷な生活状況のホストもいるようです。昔、そんな相談を受けた気もします。

ところで、ホストは「労働者」でしょうか。

昨年、東京地裁で判決が出されたようです。
ホストは、労働者ではなく自営業者であるとの結論。自らの才覚により顧客を集め、店舗という場所を借りて営業を行う自営業者であるというのが基本的な論理のようです。

もちろん、一事例判断ですから、すべてのホストが自営業者であると判断されたものではありません。ホストの方には、判断に不満のある方もいるでしょう。

一つだけ確かなことは、ホストは、見た目の派手さと裏腹に不安定であるということ。これは、収入の点だけでなく、法律上おかれた地位も含めて。

それでは、ホステスはどうなるの?考えさせられる判決ですね。

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第十九回 自己破産

2017.04.04

4月3日付の朝日新聞朝刊に、自己破産の申立てが昨年度13年ぶりに増加したとの記事が掲載されていた。貸出し上限のない銀行系ローン残高の急増が原因ではないかとのこと。

私が弁護士登録をしたのが平成16年10月であるから、約13年前のことである。
その頃は、債務整理の相談が本当に多かった。弁護士会の債務整理の相談は、引きも切らなかった。毎日相談日を設けているのに、連日満員の状況。弁護士なりたての私の目からしても異常であった。

こんな悲惨な状況が、少しずつ変化した。12年連続で前年度を下回っていた事実を見ても、自己破産は確実に減少していた。

それが、13年ぶりに増加に転じたのである。

日銀がマイナス金利政策を採用していることからすれば、消費者への貸出しは、銀行の重要な収入源であることは理解できる。しかし、その貸出し先が破産してしまったのでは元も子もない。消費者金融には総量規制がされているのに、銀行が青天井というのも公平性を欠く。
やはり、新たな政策決定が必要であると思われる。

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第十八回 春の夜は春の夜ながらさりながら

2017.04.03

泣き童 永き別れや 江戸の春   合掌

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第十七回 天気晴朗なれど波高し

2017.03.24

先日、石原慎太郎元東京都知事の証人尋問が行われた。都議会に設置されたいわゆる100条委員会における尋問である。

石原元都知事は、自宅の前で、報道陣から心境を問われ、冒頭の一節を述べた。これは、日露戦争における日本海海戦に際し、戦場の様子を当局に知らせるため、連合艦隊から打電された有名な一節である。秋山真之が起草したと言われている。

ところで、この石原氏の尋問。晴朗にはほど遠く、責任の所在は全くもって五里霧中である。尋問は、問いと答えがかみ合っていない場面も散見された。このような質疑を見ても、都民は全く納得しないだろう。

司馬遼太郎は、冒頭の一節について、戦場の天候が我が軍に極めて有利であることを簡潔な一節で象徴したことを印象的な筆致で綴っている。果たして、石原氏が述べた一節は、氏のいかなる心境を、そして、都民のいかなる心情を象徴するものなのであろう。

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第十六回 訴訟代理人の表示

2017.03.15

弁護士が依頼を受けて裁判をするときには、訴訟代理人として氏名を記載する決まりとなっている。世間の人からすれば、訴訟代理人として名前を出している以上、当然、依頼者と直接面談し、依頼を受けていると思うだろう。
ところが、現実は、必ずしもそうとばかりは言えない。法律事務所が法人化している場合などには、所属弁護士全員の名前が代理人として記載されているが、実際の担当者は1人だけといったことは珍しくない。社会の耳目を集める事件では、弁護士が実際に訴訟活動を行わず、名前だけを出すことを了承するといったケースもある。

稲田防衛相が、かつて森友学園の訴訟代理人として弁護活動を行っていたのかどうかが国会で議論となっている。学園側と稲田防衛相の意見は真っ向から食い違っており、普通に考えれば、いずれかの言っていることが事実とは異なっているのだろう。
疑問に思うのは、かりに稲田防衛相がかつて森友学園の訴訟活動を行っていたとして、それを躍起になって否定する必要があるのかということである。「たしかに嘗て訴訟活動を行ったが今は関係ない」と答弁すれば足りるように思える。弁護士は、依頼者の依頼に応え、依頼者の利益を最大化するのが仕事なのだから、私人である時分に行っていた訴訟活動が、違法行為でもないのに取りざたされても、毅然と対応すれば問題ない。必死に否定すればするほど疑わしく見えてしまうのが人間というものである。全否定は、何を意味するのだろう。
予算委員会で議論すべきことは他にも山ほどあると思うが、しばらくこの話題が止む気配はない。

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第十五回 仰げば尊し

2017.02.20
仰げば尊し

先日、20年ぶりに母校の大学へ行って来ました。

師事した教授が定年退官となり最終講義を行うとのことで、これを聴講するためです。

懐かしさや感謝の気持ちなど、万感胸に迫るものがありました。
今まがりなりにもお仕事させていただいているのは、教授のおかげと言っても、何ら過言ではありません。

椎橋先生、長い間本当にお疲れ様でした。

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第十四回 球春到来

2017.02.08

今年も早1ヶ月が過ぎ、プロ野球もキャンプイン。2月1日の新聞紙上には、各球団の記事が踊っていました。
もっとも、今年の誌上では、例年とは異なる文字が目を引きました。本年2月1日は、沢村栄治の生誕100年に当たるとのこと。コラムやスポーツ欄は、沢村の記事で目白押しでした。
中学及び京都商でバッテリーを組んだ山口保守が、両手10本の指全てを脱臼したとか、フォームを解析したところ球速は160キロ近く出ていたとか。時代が異なるとはいえ、やはり伝説の人物。

ところで、沢村投手が昭和9年の日米野球でメジャーリーグセンバツを相手に8イニングを1失点9奪三振しながらも0−1で惜敗したことは広く知られています。3番ルース、4番ゲーリックからも奪三振。弱冠17歳の沢村が、文字通りのメジャーリーグ選抜に快刀乱麻。
そして、この伝説の一千が開催されたのが、静岡の野球ファンであれば知らない人はいないであろう静岡草薙球場。

沢村は2度出征し、帰還する度に腕の位置が下がっていました。
3度目の出征前には、後輩に野球を続けたければ手榴弾は投げるなと言い残したそうです。
そして、3度目の出征で戦死。
背番号「14」は栄光の巨人軍最初の永久欠番となりました。

今年は、この沢村栄治の生誕100年。
来るべきセンバツも、一つの感慨をもって観戦することになりそうです。

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第十三回 新年のご挨拶

2017.01.13

遅くなりましたが、皆様、明けましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

今年のお正月、皆様はいかがお過ごしでしたか。
天候も良く、初詣や初日の出に出かけるには、うってつけの日よりでした。

さて、少し前の話になりますが、昨年11月の朝日新聞に、下のような新聞記事が掲載されていたのを皆様ご存じでしょうか。

目の不自由な方が持っている白状は、必ずしも全く目の見えない方だけがついているわけではありません。
道路交通法上でも、全盲に限らず視覚に障害のある人は保有するようにとされています。
記事を読むと、全盲ではない方が白状を持っていることにより、不快な経験をしたケースが散見されるようです。

世の中の方々が、白状を持っている人についての理解を深めてもらえれば、目の不自由な方もそうでない方も、お互いに不快な思いをすることも少なくなるのではないかと思い、こんなことを書かせていただきました。

それでは、皆様、本年も宜しくお願い致します。

弁護士 宇佐美 達也

新年のご挨拶

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第十二回 ボブ・ディラン

2016.12.13

何かと物議を醸した今年のノーベル文学賞。ボブ・ディランは、あまり聴いた憶えがないけれど、昔、「愛という名のもとに」というドラマで、登場人物たちがラストで語った台詞が、ボブ・ディランの「風に吹かれて」の一節だった。それが最初の出会いだったかな。

ところで、授賞式を欠席したディランがコメントを寄せた。
印象に残った箇所があった。

「私は5万人のためにも50人のためにも演奏してきました。本当は50人のために歌うことの方が難しいのです。5万人は一つの人格を持ちますが、50人は個々のアイデンティティを持っています。」

何となく共感できる。全く次元は違うけれど、自分の仕事とも共通点があるように思う。一見同じように見えて、事件には個性がある。依頼者にも勿論人格がある。ディランと同じ思いで、仕事に臨みたいものですね。

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第十一回 新聞連載

2016.07.06

日経の朝刊に連載されていた宮部みゆきの「迷いの旅籠(はたご)」が、6月30日をもって完結しました。本作をもって百物語シリーズも完結。主人公のおちかが過去に訣別し、新たな旅立ちを予感させるエンディングに、しばしの間幸福感に包まれました。

この名残惜しさは、毎週欠かさず見ていた大河ドラマが終了したときと同じ。それでも、年が改まれば、また大河を見るように、今回も新たに新聞連載を読むこととなるのでしょう。

7月1日からは、伊集院静の連載が始まりました。まだ始まったばかりですが、こちらも面白そうですね。

新聞小説が面白いと、一日の始まりが溌剌とします。やはりネットニュースでは味わえない醍醐味であると思います。

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第十回 野球賭博はなぜいけないのか

2016.03.15
野球賭博はなぜいけないのか

昨年プロ野球界を震撼させた野球賭博問題の余波が収まらない。
本当に今回限りで事態が収束するのか、他球団には波及しないのか、不安を覚えるのは私だけではないだろう。

ここでは、今後の見込みはひとまず於き、なぜ野球賭博をしてはいけないのかについて考えてみたい。

勿論、賭博罪は刑法に規定されており、法に触れるから、してはいけない。
また、いわゆる博打金や寺銭が反社会的勢力の資金源になっているから、してはいけないというのも正解であろう。 最初は少額を賭けさせ、借金漬けにさせて、ひいては八百長を持ちかけるというのは、海外におけるスポーツ賭博の常とう手段であり、このような事態を防止するために賭博は禁止されるべき、というのも正解であることには異論がない。

要するに、正解は一つではないのであろうが、プロ野球選手個人にとって、野球賭博をするということは何を意味するのであろうか。

プロ野球選手にとって、試合の勝敗を賭けの対象とすることは、自らの職業を賭けの対象とすることに他ならない。
自らが文字通り人生を賭け、命がけで戦った結果に金を賭けるに等しい行為である。
我々の職業で言えば、他の弁護士や検察官が担当している裁判結果を賭けの対象としているようなものである。

結局は、このような行為を恥ずかしいと思うかどうかの問題であると思う。
金をほしいと思うのは自然なことである。
問題はその金の稼ぎ方。
自らの職業を賭けの対象とすることは、結局のところ、自らの誇りと尊厳を売り渡して金を得ようとする行為ではないだろうか。
このような恥じらいを感じない人間には、野球賭博がなぜいけないのかを理解することはできないのかもしれない。

要は、人間としての誇りの問題であると思う。

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第九回 事情聴取の難しさ

2016.03.10

広島県府中町で、本当に痛ましい事件が起きてしまいました。

万引きをしたという誤った非行歴を基に、志望校への受験ができないかのような進路指導を行い、生徒が自殺をしてしまったという事件です。

誤った進路指導と自殺との因果関係は不明とされているようですので、断定的なことは言えません。

しかし、マスコミ報道によれば、事情聴取を正確に行うことの難しさを痛感させられます。

報道によると、担任教師が生徒に万引きの事実の有無につき事実確認をしようとしたところ、生徒はあいまいな返答をし、この担任教師は生徒が万引きをした事実があったものと誤解してしまったようです。

われわれの仕事も、依頼者や相談者から事情をお聴きすることが業務の中心の一つですが、このような誤解を生じるおそれは常にあります。

相手が中学生という、理解力や表現力が十分ではない方であればなおさらです。

ましてや本件における事情聴取者は教師であり、一方は生徒。

しかもその聴取内容は高校進学に関することで、かつ、自身の万引きという事実に関するもの。

きわめて慎重な事情聴取が不可欠な事案でした。

当該担任教師を非難するつもりはありませんが、返す返すも、最初の時点で丁寧な事情聴取がなされていればと残念でなりません。

そして、自分も丁寧な事情聴取を行わなければ、と改めて痛感する悲しい出来事でした。

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第八回 介護の負担は誰が負う?

2016.03.04

平成28年3月1日、最高裁で世間が注目する判決が出されました。

認知症を患っていた91歳の男性が電車にはねられて死亡した事件につき、JR東海が振替輸送費などを男性の遺族に請求した裁判です。最高裁は、遺族を民法714条にいう「監督義務者」には当たらないとして、JR東海の請求を棄却する判決を下しました。JR東海も最高裁の判決を尊重するとのコメントを出しているようです。

この判決は、高速度で高齢化社会が進展する我が国で、注目を集めました。本件の結論には私も賛成ですし、マスコミなどの報道を見ても、判決に好意的な意見が多いようにも感じます。

しかし、事は、そう単純ではなさそうです。

本件の結論に多くの方が賛成していると思われるのは、請求者側が日本を代表する大企業であるのに対し、請求される側が一定の介護への努力を果たしていた家族であるという事情によるものと思われます。

けれども、請求者側が大企業であるとは限りません。零細業者が、認知症を患う方に損害を与えられた場合に、誰に対しても損害賠償を請求できないのでは、場合によってはその業者は深刻な事態に陥りかねません。

また、被害を与えてしまう側の事情もさまざまです。認知症に限らず、精神疾患や極度の酩酊状態、急な疾患など民事上の責任を問うことが難しい場合は、認知症の場合に限られません。

認知症の方が損害を与えた場合を一部カバーする損害賠償責任保険も販売されているようですが、自動車事故を起こした場合には適用されないなど、十分ではないようです。

結局のところ、この問題は、一定の割合で必ず発生してしまう不幸な事故のリスクをどのように負担すべきか、という問題だと思います。遺族にのみ負わせるのはときに過酷です。他方、被害者に泣き寝入りを強いることも妥当ではない場合があるでしょう。

やはり、社会全体で広く浅く負担していく方向を議論するしかないのではないでしょうか。本件は、その契機とすべき重要な事件だと思います。

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第七回 年始のご挨拶

2016.01.08

皆様、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

おかげさまをもちまして、当事務所も無事新年を迎えることができました。本年の5月で丸2年となり、開所3年目となります。これもひとえに皆様のおかげです。厚く御礼申し上げます。

さて、本年は、年明けから隣国が不穏な動きを見せ、世界経済も動揺しているように見えます。国内に目を転じれば、与党は、昨年成立させた安保関連法の余勢を駆って参院選で総議員の3分の2を確保し、憲法改正を目論んでいるようです。このように不安定な世の中においては、我々一人一人に、主権者としての自覚が求められることとなりましょう。依頼者各人の要望に真摯に向き合うと同時に、主権者の一人として自覚的な言動を行ってゆくことをここに宣言し、新年のご挨拶とさせていただきたく存じます。

また、昨年は、ほとんど更新できなかったこの「せいうんだより」も、もう少し高頻度で更新できればと思っております。

それでは、本年が皆様にとり良き一年となりますよう、心より御祈念申し上げます。

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第六回 常識を覆す新判例

2015.06.04
常識を覆す新判例

近似、巷を騒がせる新判例が下されました。ご存じの方も多いでしょう。そう、「枕営業」は不法行為に該当しない、という東京家庭裁判所の判例です。

マスコミ報道などを総合すると、相手方は本人訴訟で、枕営業だったなどという主張は一切なく、証拠調べもなされず、たった2回の裁判で、例の判決が下されたそうです。

私は、この判決は、世間の常識にそぐわない、奇をてらった判決だと思います。しばらくは、この判例を利用した主張も展開されるのかもしれませんが、この判例が上級審でも維持されるとは考えづらいところ。早晩従来の判例の流れに落ち着くのではないでしょうか。

いずれにせよ、この判例は、原告であった元妻の権利を侵害しているのはもとより、枕営業をしていたと断じられた飲食店経営者の女性の名誉をも侵害する判例であって、あらゆる意味で、女性蔑視的な判例のように思われてなりません。

 

仮に当職の元にかかる相談が寄せられても、「この判例を根拠に主張を展開すると、手痛いしっぺ返しを喰らう可能性がある」と、アドバイスすると思います。

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第五回 ふつうのこと

2015.01.19

去る1月16日、101名の新任判事補が任官した。その中には、高校時代の体育授業中に事故に遭い、四肢麻痺となりながら司法試験に合格した谷田部峻さん(27)の名前もあった。

試験の合格自体もさることながら、その合格のために要した時間の労苦を考えると、本当に頭の下がる思いであり、心から敬意を表したい。新聞報道によれば、「人の痛みの分かる裁判官になりたい」と書かれており、その思いを持ち続けてほしいと切に願う。

 

ところで、司法試験には、その受験に関して、一切の制限がないとしばしば言われる。

現在の試験では、経済的な事情から受験が困難になる方々も少なくないので、そのように言い切れるものか疑問であるが、自分が受験生であった頃は、文字通り受験制限は存在しなかった。

とすれば、谷田部さんの努力には心から経緯を表しつつも、さまざまな障害を抱える方が、普通に、裁判官や検察官に任官して、それが殊更に新聞記事にならないような時代がくればよいと心から願う。

それが、本当の意味での受験制限がないということなのだろう。

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第四回 せいうん法律事務所と弁護士とそのスタッフたち

2015.01.16
せいうん法律事務所と弁護士とそのスタッフたち

少し遅くなりましたが、皆さまあけましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

昨年の5月9日に開業し、無事8ヶ月を経過することとなりました。
とりあえず大過なく新年を迎えることができたのも、ひとえに関係者の方々のご愛顧とご支援の賜物と心より感謝しております。

本年も昨年同様、弁護士とそのスタッフ2名で、ご依頼者からのご依頼に対して、真摯に対応してゆく所存ですので、重ねて宜しくお願い申し上げます。

昨年末、珍妙な名前の政党が誕生したようですが、当事務所は、タイトル通り3名が全陣容ですので、政党要件は満たしませんが、文殊の知恵を出し合って頑張ってゆこうと思います。

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第三回 忘れられる権利

2014.11.20
せいうん便り

最初に耳にしたときは、一体どんな権利なのかと思いましたが、最近この「忘れられる権利」の存在が、社会で大きくクローズアップされています。

この権利は、プライバシー権の一種であるということができますが、インターネットや検索エンジンという、一昔前には想像もできなかったツールの発展によって、今までの書籍や雑誌などによるプライバシー権の侵害とは比較にならない程の危険性をはらんでおり、その意味で、「忘れられる権利」がますます注目されているのだと思います。

インターネットは、環境さえ整っていれば、誰でも簡単にアクセスできます。

また、検索エンジンを利用して、キーワードや人名を入力すれば、それに関連する情報をいとも簡単に探しあてることができます。

本当に便利な代物で、現代社会には、いずれもなくてはならないものあり、弁護士業務においても、必要不可欠です。

 

しかし、他方、誤った情報や名誉毀損となるような情報、プライバシーを侵害する情報が掲載されると、先に述べた利便性がむしろ弊害となって、対象者に刃となって向かってしまいます。

 

本年5月、EUの裁判所は、過去に社会保険料の滞納により不動産を差押えられたことのある男性の記事が、検索エンジンを利用することによって検索可能となっていることについて、この男性の請求を認め、グーグルに削除を命じる判決を下しました。

そして日本においても、対象者があたかも犯罪に関連しているかのような情報が掲載され、グーグルに削除を命じる仮処分決定が出されました。

 

インターネット上では、目を覆いたくなるような様々な情報が氾濫しています。

不適切な自己の情報を適切に管理するためにも、この「忘れられる権利」が認められた意義は、極めて大きいと思います。

 

もっとも、この仮処分決定も、無限定にこのような権利を認めているわけではありません。

次回は、少し、決定内容に踏み込んだ考察をしてみたいと思います。

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第二回 セウォル号船長への判決

2014.11.13

11月11日、注目の判決が出されました。

死者295名・行方不明者9名の大惨事となってしまったセウォル号の事故に関して、検察側が船長に殺人罪を適用するよう求めていたのに対し、殺人罪は適用されず、懲役36年の判決が言い渡されたというものです。

改めて思い返すと、誠に痛ましい事故であり、亡くなられた方やご遺族に対し、心から哀悼の意を表します。

 

この判決内容には、韓国のみならず、日本においても、様々な意見があるようです。

私は、法律家の観点から、殺人罪が適用されなかったという結果について、判決内容は適切であったと感じています。

たしかに船長は、船上において絶対的な権限を有し、乗客の最後の一人が安全に退避するまで、船上に残るべきだというのが、その責務であるとは思います。

しかし、このことと、船長に「未必の殺意」を認めることは、同義とは言えないように思います。
(「未必の殺意を認める」とは、この事件の場合、「船長は、乗客を殺そうと思っていたわけではないが、結果的に死んでもかまわないと考えていた」と認定することです)。

 

海上における救難体制の不備は明らかでした。また、船長の命も危機に瀕していました。

このような状況の下、いち早く逃げてしまった船長に、乗客を保護すべき立場にあった者としての刑事責任は免れないものの、「乗客が死んでもしかたがない。」という認識があったことまで認定して、殺人罪を適用するのは、困難であるように私は思います。

仮に自分がこの事件の弁護をしたとしても、同様の弁論をするでしょう。

 

判決はこのまま確定することはないでしょうから、その行く末が注目されるところです。

私は船長に対し、生きて、亡くなられた方の冥福を祈っていただくと同時に、痛ましい事故の貴重な証人として、二度と同種の惨事が起きることのないよう、再発防止のため、その力を役立ててほしいと思っています。

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第一回 せいうん便り

2014.11.07

このページをご覧の皆様、こんにちは。
せいうん法律事務所です。
当HPにアクセスしていただき、誠にありがとうございます。
記念すべき第一回目のせいうん便りは、7月からこの事務所に加入した、新人事務員なかのがお届けいたします。

「法律事務所」、「弁護士」というと、敷居が高い場所、何となく怖いところ、別世界の人たちというようなイメージがあるかもしれません。
というのも、わたし自身が、法曹業界(裁判所、検察官、弁護士たちの世界)に対して、そういったイメージを持っていたからです。

ですが、実際にこの事務所で働き始めてみて、一口に「弁護士」といっても、いろいろな方がいて、いろいろな法律事務所があるんだな、という、当たり前のことに気付きました。

世の中には、怖い弁護士や、話しかけづらい先生もいるとは思いますが、わたしがこの4ヵ月で出会った先生方は、とても優しく、依頼者のためにいっしょうけんめい事件に取り組んでいらっしゃる方々ばかりです。

 

わたしが勤務するせいうん法律事務所は、弁護士1名、事務員2名の、とてもアットホームな事務所です。

弁護士の宇佐美は、今までつちかってきた経験と知識を総動員して、人生の一大事にこの事務所を訪れる方々の、肩の重荷を少しでも軽くできるよう、日々奮闘しています。

そんな宇佐美に続き、わたくしたち事務員も、宇佐美のそのようなお仕事をサポートしたいと考えています。

依頼者にとって、最良の解決とは何なのか。
正解のある問いではありませんが、最終的に、「宇佐美先生を信頼してよかった」「この事務所に任せてよかった」と依頼者の方にもし思っていただけたなら、わたくしたちにとって、これ以上の幸せはありません。

 

さて、そんなわけで、今回は初回ということもあり、この事務所について、弁護士の宇佐美について、少しご説明をさせていただきました。
これからは、事務所近辺の素敵なカフェやレストランのこと、弁護士に関するテレビドラマのこと、事務所にたくさんある観葉植物のこと、ちょっと真面目なお話など、いろいろなジャンルに渡って、せいうん便りをお届けできればと思います。

もしよろしければ、またのぞいてみてください。

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